2025.01.21
温度ヒューズセレクションガイド
温度ヒューズとは
本ページをご覧の皆様は、温度ヒューズをご存じでしょうか?
温度ヒューズは非復帰型の保護デバイスで、主に熱を発生する家電等の製品に搭載されており、過熱等の異常時に発火および機器の破損等を回避する目的で使用されています。
ミカサ商事では、SCHOTT日本製の温度ヒューズ(SEFUSE®)を各種販売しておりますが、今回はその温度ヒューズを正しく選定するためのお話をさせて頂きたいと思います。
温度ヒューズのラインナップ
図1は温度ヒューズのラインナップを図にしたものです。
下は73℃から上は265℃までの範囲で、感熱素子に感温ペレットを用いた高電流用のSFタイプと可溶合金を用いた低電流用のSMタイプをそれぞれ3シリーズご用意しております。
尚、SFタイプにおきましてはSCHOTT社の独自技術を用いた高信頼性SFHシリーズもご用意しております。
温度ヒューズ選定のポイント
温度ヒューズを選定する際には、以下の各項目にご注意下さい。また、更に温度ヒューズを知るために製品カタログも併せてご覧ください。
①動作温度
温度ヒューズが使用される機器において、異常時に回路を遮断させる必要がある温度を設定し、後述する通電量も考慮した上でラインナップより適切な温度ヒューズを選んでください。
尚、選定においては通常使用時に温度ヒューズの温度がどれ位になるのかも重要(※1)です。
※1 温度ヒューズの使用推奨温度≦動作精度の基準値-20℃(Max.=140℃)
②電流・電圧
温度ヒューズが使用される機器において、異常時および通常使用時に温度ヒューズを流れる電流値を設定してください。その電流値は各シリーズの定格電流以下(※2)である必要があります。
尚、通電により温度ヒューズ自身も発熱しますので、その影響で温度ヒューズ本体温度は雰囲気温度以上になりますのでご注意下さい。
また定格電圧は全シリーズ共250V(AC)となっておりますので、異常時を含めその電圧を越えない(※3)ようにして頂く必要もあります。
※2 定格電流を超えた場合は、正常に回路が遮断出来ないことがあります。
※3 定格電圧を超えた場合も、正常に回路が遮断出来ないことがあります。
③ケース材質
SFタイプのケース材質は銅や真鍮等の導電性金属なのに対して、SMタイプは不導体のセラミックです。この違いにより、SMタイプは熱源やその他の導電部分にテープやチューブ等を用いた絶縁処理なしで設置(接触)させることが可能になっていますので、異常時の応答性に優れています。
④ケースサイズ
図2は各タイプの本体ケースサイズのイメージ図です。設置スペースに対して、適切なサイズの温度ヒューズを選定してください。
⑤リード加工
リード切断や曲げ等の加工品を提供することも可能です。ご希望される場合は、図面をご準備の上、ミカサ商事までご相談ください。
⑥その他注意事項
- SFタイプの本体ケース、リード線A(樹脂側)およびSM092A/Bのリード線には銀メッキ処理をしていますので、硫化等によって変色する場合があります。保管の際は、硫黄分を含むガスが発生しやすい場所を避ける等のご対応をお願いします。
- 温度ヒューズのリード線を曲げる場合は、リード線の根元に無理なストレスが加わらないようにし、曲げる位置は本体より3mm以上離してください。SFタイプでは、リード線A(樹脂側)が本体ケースに接触しないようにして下さい。
- 温度ヒューズは半田付けやカシメ、溶接などによって取り付けできます。取り付け位置は本体より5mm以上離して、接続部分の抵抗値(※4)にもご注意ください。
※4 接続部分の発熱によって、温度ヒューズが誤動作することがあります。
- SFタイプでは、リード線B側(本体ケースとカシメ固着されている側)の温度が常にリード線A側(樹脂側)より高くならないようにして下さい。一部のタイプ(※5)では、感温ペレットがケース内部で昇華し誤動作する場合があります。
※5 SFHシリーズは除く。
温度ヒューズの各種ご相談は、ミカサ商事までお気軽にお問い合わせください。